結婚15年目。
子供が生まれてからの12年間は専業主婦。
もういいかげん、家事も手際よくこなせるようになった。
ある日、掃除をするため息子の部屋に入ると、学習机の上に
無造作に置かれたランドセルに、ふと目がとまった。
「あれからもう、10年以上経つのかぁ・・・。」
息子が小学校一年生になる前、家族でランドセルを買いに行った
冬の日の事を思い出した。
息子は真新しいランドセルを抱えて、とっても嬉しそうに
はしゃいでいて、家に帰ってからもランドセルを降ろそうとしな
かった。
まだまだ小さかった息子の背中に背負われたランドセルは、
とても大きく重たそうに見えた。
小学校と言う新しい生活に、夢と希望と期待を膨らませた息子の
瞳は、キラキラ輝いていた。
そして息子は、大きなランドセルを背負って、一年生になった。
小学校に通ったこの6年間は、息子にも私にも、本当に色んな事が
あった。
初めてお友達と喧嘩をして泣きながら帰って来た日。
テストの成績が悪くて、ランドセルの底の方に隠していた日。
体操着やリコーダーをぶら下げて、いつもの通学路を通った日々。
初めての授業参観では、張り切って発言する息子の姿に、感動して
涙が出そうになったっけ。
運動会や学芸会。
合唱コンクールや社会科見学。
林間学校や修学旅行。
このランドセルと息子は、いつもいつも一緒だった。
ランドセルについた傷の一つ一つが、息子の成長や思い出。
あと半年ちょっとすれば、息子は小学校を卒業して中学生になる。
大きなピカピカだったランドセルは今、なんだか小さく見えるように
なって、沢山の傷と一緒に息子の背中で揺れている。
このランドセルが、我が子の日々を刻み込んだ成長の証だと思うと、
感謝をせずにはいられない。
もうすぐ役目をおえる傷だらけのランドセルを胸に抱いて、今までの
息子の成長と無事を思い、気が付けば少しの間、涙を流していた。